空が青ければそれでいい

空series second1


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帰ってすぐに俺は三浦さんに言うて一週間の休みをもろた。ほぼバイトにも出れてなくて、さすがにもうクビって言われるかと思ったけど、三浦さんはかまへんと言うてくれた。
また音信不通にしてるハルにも連絡して、龍大のとこに居る事を説明した。
アホ程、怒ってたけど…。
でも、フランケンシュタイン龍大を見たら、ハルかて納得すんで。イケメン台無し。
ハルにはさすがに、鬼塚 心の話はせんかったけど…。
それに、そんだけ休み取ったんは他に理由がある。龍大の肋にヒビいってたからや。
鬼塚 心、手加減を知らん男や。

龍大のマンションで龍大の身の回りの世話をする。龍大は自分で出来る言うけど、俺がしたかった。
飯は龍大のが上手いから龍大が作るけど、俺も手伝ったりした。おかんの事さえ忘れてまいそうな穏やかな日々。
やけど現実は酒井組の内情を知るのに風間組も鬼塚組も動いてた。そない規模がデカないと思われた酒井組は、一新一家という組に取り入っとるんが分かった。
一新一家は関東で鬼塚組の次にデカい組で、今時、傘下組も二次団体も作らん我がとこだけの老舗極道らしい。
関東にデカい組が二つともなると、いざこざや島争いなんかあるんかと思ったけど、鬼塚組が風間組の傘下いうんもあって鬼塚組と一新一家は調和のとれた関係やった。
と、いう事は、一新一家は本来の酒井組の目論見を知らん可能性があるってことや。
まさか酒井組が佐渡組の生き残りの息のかかった組なんて、夢にも思ってないってこと。
でも一新一家が万が一仁流会を潰すために酒井組の内情全て考慮の上で、酒井組と手組んでたら?そう龍大に聞いたら、それは有り得へんと。
なんや一新一家の由良組長と、鬼塚前組長ー鬼塚心の親父が旧知の仲とか何とか…。
ただ酒井組と無関係でもない一新一家の顔を潰すわけにはいかんので、酒井組が裏でやらかしてることや佐渡を迎え入れようとしていることを話す席を設けるための調整が行われていた。
この時点でもう、俺のおかんだけの話やなくなった。関東も関西も大規模に動きかねん極道の内情なんか、俺なんかが話聞いても、まるでVシネの世界…。

「威乃、どないした?」
いつもの如く俺を抱き枕にして寝る龍大が俺が寝てないことに気が付き、背を向けている俺の項に唇をくっつける。
「何か…お前って近いけど遠い」
「何やそれ」
龍大がいつもみたいに片眉あげてんのが、見んでも背中越しに分かる。
逢うてそないに経ってないんに、俺はオマエの表面は嫌ってほど把握してる。ハイスピードで大接近や。
「俺、こないデカい話になるなんて思ってなかった」
「うん」
「お前と会って、お前を知ったけど、まだ何も知らん」
「威乃にしては珍しく、訳分からんこと言うな」
だって知らんねんもん。ハイスピード大接近やけど表っ側ばっかりで、お前は全然中身を見せてくれへんやん。
ゴソゴソ動いて身体を龍大に向ける。暗闇でもオマエの瞳が優しく俺を見てるんが分かった。
「お前も行くん?関東」
「行くよ。威乃のおかん助ける約束したやん」
でっかい手が俺の髪を撫でる。
何もかんも与えられた。龍大から、優しさも温もりも安らぎも。俺のせいで、鬼塚 心にボコボコされて…。
「お前…は、俺を好きなん?」
「好き」
「男やで?」
「知ってる」
「でっかい乳もないし」
「そんなんいらん」
「いつから好きなん?俺のこと」
「秘密や…」
また…中には入れてくれんのや…。
泣きそうなって、龍大の首に腕を回す。龍大は少し驚いてたけど、すぐにギュッて抱き締めてくれた。
「龍大…ヤろう」
「え…?」
「俺を…俺を、ちゃんと、だ、抱いとけ…。やないと、お前が帰ってくる前に浮気する…。お前が俺の気持ち云々ぬかすなら、無事に帰ってこい。そしたら、俺の気持ちも全部教えたる。教えたるから、そん時は、お前の中を全部見せろ」
「………」
鳩が豆鉄砲喰らった顔…イケメンはどんな顔でもイケメン。微妙、間が抜けてるけど…。
驚くか…。せやな、あんだけ嫌がってたしな。でも…何か、せな、ヤらなあかん。
ヤりたい。熱知りたい。
いつもみたいな、セフレとする精液出すだけの行為やのうて、ドロドロに溶けてグチャグチャになって、一個になるみたいな…。龍大とは、手コキですらあれやし…。
いや、結局、俺から離れられんくしたいんかな。
俺は、鬼塚 心に殺されかけたお前見て、気ぃ付かん振りしてた事に気ぃ付いたんかもしらん。
「…威乃」
「ズルいな、俺。俺とヤらして、お前に離れられんようにしてる。どっかの阿婆擦れみたいや」
「……」
「お前、いきなり現れて、俺にとってめっちゃでかい存在なりすぎ…」
“とうかこうかん”とか言うて、人の身体、開発するだけ開発して最後までせんお前の律儀さ。
男らしいっちゅうんか、なんちゅうんか…。
「帰ってきたら…ちゃんとお前の中身、俺に見せてくれ」
全部、奥の奥まで…。見たい。見せてほしい。
「後悔せんか?流されて…とかちゃうか」
「何に流されんねん、流されて出来ることと出来んことあるわ」
目眩く快感だけやない。
あないな場所は、本来なら出すとこで入れるとこやない。ヤルって事は、指やない龍大のデカマラ飲み込むってことや。
どう考えても、逃げたいくらい怖い痛さしか想像つかん。でも、このまま関東行かれたら、俺はおかんもおらん、お前もおらんあの塒で一人でジッとただ待つだけ。
その事に身体が震えた。平気やった孤独も何もかも、お前が全部変えてもうた。
「龍大…」
囁くように名前を呼ぶと、どちらからともなく、ゆっくり唇が合わせた。

はあはあと荒い息だけが暗い部屋に響く。獣と化した龍大は、さっきから存分に俺の身体を貪ってた。
「威乃…」
「あ…ぅ…」
もう何度となく精を吐き出したそれは、未だに龍大の口の中。
腰砕けってこういうのかとかアホなこと思いつつも、気持ち良すぎて頭がボーっとする。
クチュクチュやらしい音立てながら、いつまでも、何か愛おしいもんでも舐めるみたいに愛撫は続く。
俺は足、アホみたいに開かされて、羞恥も何も考えれん。
「あっ、あっ…龍大っ…」
ジュブジュブ音立てて吸われて、舌絡まされて背骨に直に来るゾクリとする快感。
何度吐き出しても、萎えることないんは若さ故か…。
「あっ!!!…イ…イクッて…龍大っ…またイクッ…ああっ!」
イクと訴えた途端、太くてゴツい指が俺の窄まりを拓いて、中に一気に入り込んできた。
グニュグニュ、狭い中を動き回る違和感と排泄感。グッと目を瞑ると、あのポイント見つけられてグッと押されて腰が跳ね上がった。
「ひ…あぁ!やっ、龍大!あっ!あんっ、あっ…!うわっ!」
グリグリ押されて、目の前がチカチカしたと思ったら、龍大の口の中で知らん間にイッてて、でも、まだ何か訳の分からん快感があって…。
「あぁ…っ!…龍大っ」
嫌って龍大の髪を弱々しく掴めば、ようやく顔を離して、獣の様に口を拭う龍大にゾクリとした。
「お前…俺を…イキ殺す気?」
「俺やないと満足できん身体にしたいだけ」
真顔で言うな…。と突っ込もうとしたら、身体を俯せにされてケツだけ高く持ち上げられた。この格好は…。
「龍…龍大!…あっ!」
尻たぶを割って、ぬるりとした感覚。
往復して舐めまわされる窄まりは無意識にキュッと締まり、俺の熱はまた頭を擡げはじめた。
自分の足の間から見える龍大の鍛えられた身体は、アングル的に卑猥で俺はただ黙って腰をあげていた。グチュッと捩じ込まれた指に、目をキツく瞑る。
本来とは違う役目を担うそこは、龍大の指を美味そうに飲み込む。入れられる度に加わる圧迫感。最早、今が何本かも分からん。
「威乃…ほんまに入れるで」
背後からかけられた、色香を含んだ声。表情が分からん。顔…顔見たい。
「バック…からは嫌や…顔、…見せて」
顔見な…とか思った。顔見たい。
今の今まで女と男っていうのが当たり前と思ってた行為を、一瞬たりとも想像した事のなかった男と男で及ぼうとしてる。
それは他の誰でもない、風間 龍大が相手。オマエが、俺を変えたんや。
龍大は俺の身体を仰向けにすると、俺に見せつけるみたいにスウェットと下着を脱ぎ始める。同じ雄で同じもんぶら下げながらも、俺は龍大のストリップに欲情した。
ゴクリと息を呑む。龍大のバカみたいに育ったそれは、先端から蜜を垂らしてフルフル震えていた。
「もう、やめれんで?」
顔の両脇に腕を置いて、真剣な龍大の顔が見える。
「約束、忘れんなよ」
ニヤリと笑って、龍大の唇をペロリと舐めた。と、そのまま龍大に唇を塞がれ、舌が絡まる。
ディープキスに夢中になってたら、窄まりに感じたことない熱を感じた。グッと押し入る熱と塊。尋常やない痛みと、拓かされる恐怖。
今更ながら、ぞんざいに扱ってきた女の子に申し訳なく思った。
ゆっくりと胎内に押し入ってくる異物感。痛いとか、そんな簡単な言葉で片付かん。
「はっ、あっ!…うっあ!」
息がうまいこと出来ん。圧迫感と味わったことのない異物感。そんな全てを拭い去るほどの痛み。
はくはくと金魚のように口を動かして酸素を求めながら、無意識に顔の横にある龍大の腕を力任せに握った。
痛みから自然にホロホロ涙が零れてシーツを濡らした。
「威乃…」
「はっ…全部?なぁ…全部?」
「まだ…半分」
お前デカイねんっ!視界は霞んで見えん。意思関係なく流れる涙はめちゃくちゃ痛いんやと訴えてるみたいで、龍大は目尻にキスをした。
「動く…」
えっとか、待ってとか、イヤとか言うまもなく龍大はゆっくりと腰を動かし出した。
龍大は膨らみもなんもない俺の胸の突起をペロペロ舐めながら、時折甘噛みする。
そんなとこ感じへん思ったのに人体改造されたんか俺は、胸の刺激だけでゾクリと震えた。
「やっ…ああっ!あっ、あっ!やっ、龍…」
無意味な言葉を散々喚いて、衝撃に耐える。身体の中を行き来する熱の塊は、尋常やない熱さで、貫かれた衝撃も尋常やない。
視界の端に写る龍大の顔が想像してた以上にエロくて、無意識に後ろに力が入った。
「…はっ…威乃」
「んっ…わざと…やない…、あぁ!」
萎えることなく蜜を垂らす俺の塊は放置やのに、今にもイキそうなんは何でや…。
痛みは半端ない。でも、それを遥かに上回る快感と幸福。
繋がってるんやーっていうんが痛みを吹き飛ばし、快感だけを追わす。
俺で、俺の中で感じる龍大。ただ、それが嬉しくて、それが気持ちよくて喘いだ。
「威乃…今から本番」
「へ…」
はあはあ息する俺の腰を掴んで、いきなり激しく動き出した龍大。が、俺は抗議する暇すらなかった。
「ひっ!!イヤっ!龍大!龍…あぁ!あっ!龍大!イクっ、イク!そ…そこっ…!イヤ!あぁぁぁぁぁっ!」
ゴリゴリと龍大の塊が俺の中のポイントを擦りあげ、指なんか比べもんにならん快感。全身総毛立ち、奥を突かれるのさえ酷い快感。
「あっ!!ああ!!…あっ!!あうっ!!ひっ…!あああ!!」
ピシャッと、押し出されるみたいに熱を吐き出して、急激に締め上げたんか、龍大の身体が震えて身体の奥に熱いものが広がった。
「はぁ…あ、あつ…」
「…はぁ」
龍大は息を整えると抜け殻の俺の腕を掴んで、グイッと引っ張りあげた。
「あうっ!」
自分の体重で沈む身体は、龍大の塊をあらぬ所まで招き入れて、俺は龍大に抱きついた。
龍大は目の前に来た俺の胸の突起を吸いながらも、全く動く気配がない。
「威乃…、動いて…肋…痛いわ」
「は…あ…あぁ…無理」
ってか肋イッといてあの動き…肋イッてなかったら、俺は間違いなく死んでた。
それより俺はヴァージンやってんぞ。今かてグルグルしてるんに、鬼か。
「威乃ん中…めちゃええ…絡みついて離さん」
「おまっ…」
いっつもろくに話せんで言葉少ないくせに、こんな時だけ饒舌って最低や!
でも実際に龍大を飲み込んだ箇所が、なかなかない刺激にうずうずして伸縮しとるんが自分でも分かる。最高級の羞恥プレイや。
「…威乃…動いて」
言霊かなぁ…熱い吐息吐きながら言われたら、突っ込まれててもやっぱり雄や。何か喘がしたなる。
俺は龍大の肩に手を置いて、息を吐いてゆっくり腰を揺らし始めた。クチュッって卑猥な音がして、背骨にダイレクトに快感が痺れとなってくる。
そうなったら痛みなんかスッカリ忘れて、俺は欲望のままに腰を動かし始めた。動かせばもう止まらん。
ポタポタ先走りの垂れ落ちる俺のベニスはプルプル震えて、俺は龍大を寝転がして娼婦みたいに龍大の上で舞ってた。
「あかん!…あっ、あっ!んん!…龍…龍大!気持ちぃ…気持ちぃ!」
「…っ威乃…イキそ…」
下から、それこそ惚けそうな顔で見られ、視覚からも犯されてるみたい。ブルブル内太股が痙攣しだして、限界が近いのが分かる。
俺が喰ってる龍大のベニスはデカさを増して、シコリをゴリゴリ突いてくる。
「龍大っ…あ…んっ!あっ!」
もう声なんか抑える気も、恥じらいも何もない。イキたくてイキたくなくて、って訳の分からん葛藤が脳内で戦始めた。
でも若さは快感には無力。俺は限界に震える自分のペニスを扱き出した。
もう羞恥心なんかどっかに忘れてきた。今は龍大を使ってオナニー状態かもしらん。
「…はぁっ!…くっ…威乃!」
龍大のイキ顔、ヤバすぎ。眉間に皺寄して、歯食いしばって。見たら脳天まで一気に痺れて、俺は声も発せれずにイッた。
ガクガク身体が震えて、初めて経験するエクスタシーに俺の意識はプツリと切れた。
ここで死んだら、男のあこがれ腹上死…。
レベル低い俺が最後に考えたことやった。