花の嵐

花series second2


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何度か口づけを交わして額を合わせて互いを認識する。言葉はなく、ただ呼吸を感じた。
さっきまで震えていた身体も今では落ち着き、反対に久々の心の香りに安堵した。
「なかなか、ええ腕しとる」
心が思い出したように笑って言うので、静は唇を尖らせた。
「必死だったのに」
「いや、助かった」
胸元に頭を置いてみる。力強く打つ鼓動に愁眉を開いた。血液の流れる音と呼吸の音、心が生きてる証拠だ。
「つうか…」
心が言って静の顔を上げさせた。そして口許や目尻の真新しい傷を指で撫でた。
指が当たっただけで痛みが走り、思わず顔を歪めると心が眉を上げて手を離した。
「来生か?」
「まさか…大多喜組の残党だよ。橅木桔梗っていう男で…」
「残党なんかおったんか」
「懲役喰らってたんだよ。まさか出所してたなんて…」
厄介な男が出てきたとは口にせず、心の胸に顔を埋めた。その静の髪を心がするっと撫でた。
「よく居場所、分かったな」
「来生の動向を探ってたからな」
「雨宮さん、が?」
「いいや、あいつが今どこで何をしてるんかは俺も知らん。俺も外に出てるからな」
「……」
心の言葉を頭で整理して、ゆっくりと顔を上げた。
「え?出てって…」
まさかという静の顔に心は何だ言わんばかりの顔を見せた。それを見て、またかと項垂れた。
「本当、困った奴…」
我儘で自分勝手で…無茶苦茶だと、静はグッと心に抱き着く腕の力を入れた。
「静…」
「もう、行くよ。涼子…妹とはぐれたんだ。涼子と居るとこを橅木に襲われたから…。交番に逃げ込めって言ったけど、まだ無事か分からない」
静が起き上がり心から離れると、心は静の腕をグッと掴んだ。だが逃れられないほどの力ではなく、するすると腕が抜けていく。
最後、手と手を繋いで心もボンネットから起き上がった。
「車、ダメになっちゃったな」
「俺のんちゃうからええわ」
「そうか…」
少しでも何か会話をして別れを延ばそうとしていた。だが、そんなことをしていても埒が明かない。一緒に居れないのはお互い理解しているのだ。
静は足元に視線を落として、そっと心から手を離した。
「無茶すんなよ」
それだけ言って直ぐに背を向ける。背を向けた瞬間に目の奥が痛くなり、ダムが崩壊したかのようにぼろぼろと涙が溢れて零れて、目尻や口許の傷を沁みらせても声を上げず、ただ歩くスピードを上げた。
心はその後ろ姿を見ながら小さく舌打ちすると、またボンネットに倒れるようにして寝転がった。傷が痛み顔を歪めて目を開けると、暗闇が広がっていた。
正確には月もない闇夜ではあるが、自分が生まれ育った場所と違い空はくすんで見えた。
星が少し見えるが、少しだ。まるで雨のように降ってくるんじゃないかというくらいに瞬いている故郷とは違う。
あそこでずっと過ごしていたらなんて、らしくないことを考えたことは皆無だ。ただ、たまに都会の喧騒にげんなりする事がある。
そう考えると自分は案外、田舎が好きなんだなとこれまたらしくないことを考えた。死にかけて少し思考が鈍ってるなと自嘲して、目を閉じた。
「はー、やるか」
心は起き上がるとスマホを取り出し、簡単なメッセージを送った。すると数分もしないうちに先ほどのバイクがやってきて、心はヘルメットを受け取ると後ろへと跨った。

「お帰り…」
千虎はげんなりした顔で帰宅してきた心を迎えた。玄関の三和土には容量オーバーのように靴が並んでいる。
心はその隙間の一角に靴を脱ぐと部屋に入った。
「何で移動した」
「なんで!?なんでって聞いた!?ねぇ!通報されたからだよ!!マジで焦ったんだからな!」
余程、頭にきているのか噛みつかんばかりの勢いで言われて、心は思わず笑った。
「ご苦労さん」
とりあえず言って中に入れば、ここもまたキャパオーバー。ソファに月笙とThanatosが座り、離れた場所に鷹千穗がそっぽを向いて座っている。
テーブルには食事をしたのかファストフードやコンビニの袋が所狭しと載せられていて、心は恐らく自分用に買われていたのだろう袋を取ると鷹千穂の隣に座った。
「来生に逢ったぜ」
「…」
月笙は心を見ると、フッと笑った。
「お前を襲撃してから連絡を絶っているからな…。何か言っていたか?」
「さぁ、話してへんからな。ただ、面に一発ぶち込んだ」
ニヤリと笑うと、Thanatosが笑って月笙の肩に手を置いて心を見た。
「活該」
「え?なんて?」
お茶のペットボトルを持ってきた千虎は、Thanatosが月笙に囁いた言葉に首を傾げた。
「ざまあみろ、だよ」
「へぇ、へー、もう一回」
「いらん言葉、覚えんでええねん」
心に言われ、千虎はそれもそうかと顔を傾けた。そして心にペットボトルを渡すと鷹千穗を挟むように心とは反対側に隣に腰を下ろした。
狭い部屋は定員オーバーだが心は特段、気にすることなくコンビニの袋からパンを取り出した。
「お前らは来生にも神童にも義理を感じてる訳やないんやな」
「義理?ははは…義理か。あくまでも奴らとはビジネスパートナーであって、伙伴フゥオパァン …仲間ではない。そもそもThanatosは仕事を受けるだけで奴らはその対価を払ったにすぎない。俺たちは来生の言う通りに佐野を襲撃し、お前を襲撃した。その対価が日本に入国すること。もう望みは叶った」
「ビジネスなぁ…。神童は?」
「神童は来生に使えるコマを渡していただけだ。使い捨ての…日本にもそういう連中が山のように居る。神童は警戒心が強かった。だからなのか、俺らに何か仕事を依頼することはなかった。神童は来生のことも俺たちのことも誰も、信用なんてしてなかった」
心は齧ったサンドイッチから出てきたトマトに顔を歪めると、流し込むようにお茶を飲んだ。誰が見ても、ああ、苦手なのねという感じでThanatosは”美味いのに”と笑った。
「で、彪鷹を撃ったのはお前か?……あー、李…月笙」
「李は王暁だ。俺は梁。お前は…人の名前を覚えたりするのは不得手なんだな。覚えてないなら無理に言わなければいいんだ」
月笙が呆れたような顔を見せた。だが心は悪びれることなく、そうだっけ?と千虎の顔を見たが、千虎もうる覚えだったので笑って惚けた。
「本来、こういうお喋りは俺の仕事やないからな」
「まぁいい…。佐野は俺が撃った」
月笙が言うと銀の目が凄みを増して光った。その刺すような視線に月笙は気がつき、思わず息を呑んだ。これが死神かと身震いを覚えるほどの殺気だ。
「何で?」
「あ、ああ…AR-14マークスマンライフルだ。来生が用意した」
「外したのはわざとか?」
「いや、俺は銃は扱うが…狙击手ジュジョウ…スナイパーではない。だから、あれが精一杯だ」
そう言いながら、的に当てただけ良い方だと肩を竦めた。
「例えば…俺がお前に仕事を依頼することは出来るんか」
「……什么シェンムゥー?」
「中国語、わからへんって」
「ああ、その、何を言ってるんだ。仕事?Thanatosにってことか?」
心は返事の代わりに不敵な笑みを浮かべた。

相馬は珍しく乱暴に廊下を歩いていた。病院の廊下、特にこの特別病棟には人気がなく、高い靴音は高くそこに響いた。
目的の病室の前に着くや否や、ノックもせずに引き戸を開いた。そこにいた橘が相馬の形相に大きな身体を跳ねさせたが、ベッドでPCを弄る彪鷹はそしらぬ顔だ。
今すぐにでも殴り付けたい衝動を抑えて、相馬は彪鷹に迫る勢いで近寄ると手にしていたスマホをベッドに投げた。
彪鷹はそれを横目に見るだけで何も言わずなので、橘は気になって覗き見てみた。そして思わぬ画像に「え!?」と声を上げてしまい口を押さえた。
そこに写っていたのは行方知れずの心と、そして手配を掛けているThanatosの画像だったのだ。仲良くかどうかは知らないが、手狭な部屋で食事をしているようだ。
「説明していただけますよね?詳細は彪鷹へ。そう書かれてるんで」
「いやいや、賢いお前なら説明も必要あらへんやろ」
「申し訳ありませんが、バカの考えることは私には分かりかねます。どうして殺し屋とターゲットがアホヅラ揃えて飯食ってるのか、教えてくれますかね?」
いつもとは違い粗野な口調に橘が一歩下がったのが見えた。彪鷹はそれを見ると笑って、橘を手で追い払った。
「後で呼ぶわ」
一言付け加えると、相馬を一瞥して大きな身体を勢いよく折りたたむように頭を下げて病室を出て行った。あの図体を持ってしても、この優男が怖いかねと彪鷹は頰杖を突いて自分を見下ろす相馬を見た。
「怖がらしたらあかんで。野生の熊も人間を襲うんはビビってるからやてな」
「無駄話をしにきたんじゃねぇ」
ドンっと磨き上げられた革靴がベッドに乗る。彪鷹はそれを見ると両手を上げて、指をバラバラに動かして戯けて見せた。
「こわーい。いやぁ、お前もまだまだ若い。まぁ、とりあえず椅子持ってこい」
相馬の威勢に臆するような男ではないことは百も承知であったが、いざ目の前でそれを見せつけられると撃ち殺したい衝動に駆られる。
だが衝動のままに行動することが一番リスキーでナンセンスなことだと相馬は舌打ちをして、近くの丸椅子をベッドの横に置くとドカッと腰を下ろした。
理性では分かっていても、苛立ちは静まることなく腹の奥底から這い出るように押し寄せてくる。その度に殺意にも似た怒りもプラスされ、腸が煮えくり返るというのはこの事だなと奥歯を鳴らした。
「お前もさぁ、気ぃついてるんやろ?」
「何をですか?」
「心が勝手に動いてるちゅうのん」
「勝手に、ですか?あなたの指示で、の間違いでは?」
「まぁ、そうやな。お前は今回の件をどう見る?」
「どう、とは?簡素に言えば仁流会へ抗争を嗾けた愚か者が居るという事でしょう。それがあなたと旧知の仲である神童と来生。他に何かありますか?」
ドッペルゲンガーなのか。冷静になれと思っても、心に似てる時点で怒り100%で彪鷹と二人して何かをしでかしているということに怒り100%。リミッターはとっくに破壊されている。
「どうしてそこまで似てるんですか。顔を見てるだけで怒髪天を衝くんですけど」
「どんなイチャモンの付け方やねん。つうか来生だけであそこまで出来るわけがあらへん。神童と組んだとしても、神童を信用して手と手を取り合いちゅうんも考えられへん。狐と狸が化かし合いしながら、100ある情報の50ほどを見せ合いながら戦仕掛けてきよった。やて、ここまでのことを出来るかっちゅうたらノーや。金主がどこの誰で、内通者は誰かってな」
「内通者が仁流会に潜り込んでいるのは分かっています」
相馬は整えられた髪を手で解して、ネクタイを緩めた。怒りを沈めるのは得意な方だ。心が組を継いで一番近くに居るようになってから一早く身に付けた、いや、身に付けなければならなかった。
何故ならば、それを身に付けなければ確実に殺し合うと確信を持ったからだ。心はそれほどに扱い難く、協調性が欠落している男なのだ。
「それは鬼塚組にはおらんとでも?」
「…は?」
「お前さ、あれ見たことある?世界中の人がどんどんゾンビになっていく話。向こうでめっちゃ流行ってるドラマで、入院中に暇すぎて一気見したわ」
「今、そういう話をしているんじゃありません」
会話が出来ないところも親譲りかと舌を鳴らした。
「まぁまぁ。あれ観てて思ってんなぁ。物語の中の奴らも言うてるけど、何よりも恐ろしいのは人間ってな。死んでエグい面構えで食らいついてくるゾンビよりも、人間。仲間、家族、恋人…」
「……」
「心が6代目を襲名してすぐにしたんは古参連中の排除や。例えそれが組で一番の上納金を収められる組を率いていたとしても、あいつが直感でいらんと思った人間は排除しとる。結果、俺が知ってる連中はほぼおらん。それで?お前らは安泰やと1ミリでも思ったか?いや、思ったからこその今や。何で俺は襲撃された?あの日、あの場所で的確に…ドーン」
彪鷹は相馬に人差し指を向けた。虚を衝かれたことで怒りがスッと消えてしまっていた。だが、次にはシャワーのように疑問が一気に降ってきた。
「何でオヤジは襲撃された?しかもセコム顔負けの、セキュリティーが厳重で物騒な警備隊のおるテリトリーでな。なんで心はあの場所で斬られた?お前らすら把握出来てないイレギュラーな動きをしてるのにや」
「そこまで…入り込んでいる連中がいるということですか」
「仲間を疑えとは言わんけどな。もしかしたら俺が裏切り者かもしらん。崎山かも、成田かも相川かも…。そういう連中である可能性がゼロとは言われへんってこと」
相馬は大きく息を吐くと、天井を仰ぎ見た。
「さすが…山瀬さんが心を託しただけはありますね。そして…今、雨宮を飼っているのはあなたですね」
「よぉ分かっとるやん。飼っとるちゅうか…一時預かりみたいな。ペットホテルやな。しかしThanatosがあいつの身内やちゅうんは誤算やった。来生や神童がそれを知っとるとは思えんけど、まさか世界で暗躍する殺し屋の身内がこんな近くにおるとは思わんかったわ。お前の目論み通り、雨宮を使ってるんは俺。大体、弟に何があってああなってるんか知りたいって思うんは、当然やと思わへん?死んだと思ってた弟、ましてや一卵性双生児の片割れが、まさかの殺し屋として登場やで。知ってるか?一卵性双生児は兄弟やらよりも絆が深いらしいで。片割れを亡くした時の絶望感は親を亡くした時よりも大きいってな」
「残念ながら私には兄弟はいませんので、そういう兄弟愛は理解し難い。ただ今回のことで言えることは、雨宮の行動は崎山や鬼塚組を敵に回すとこになったということですが?」
「それでもやりたいっていうんがあいつの言葉」
「では、心が動いているのは何故ですか?私や崎山でもなく、手負いの獣のですよ。リスキーだ」
「獣て…。そうやなぁ、強いて言えば今回の件で勝算があるかないか、俺にも分からんかったからや」
「は?」
相馬は蛾眉を顰めた。彪鷹は唇を指で撫でると、冷めた笑みを浮かべ目の端で相馬を見た。
「さすがに世界で暗躍しとるような殺し屋の力量まで分からん。やからThanatosに鷹千穗が勝てるんか、来生がどれほどまでの兵力を保有してるんか、神童はどこまで関わってるんか、中に入り込んだ鼠は誰か。調べるには動かせるコマは限られてくる。お前は若頭で出不精の心に代わって表舞台におる男やから除外。残念ながら仁流会は俺らの時と変わらず、いや、少しはマシになったかもしらんけど隙あらば我こそはちゅう連中の集まりや。表側のお前や崎山まで姿隠せば鬼塚だけやなく風間も危なくなる。何せ、会長と会長補佐や。いくら盃交わした連中が傘下におる言うても、忠誠誓って地獄の果てまでどこまでもってわけやあらへんからな。油断は死や。ほな誰が残るか。ツラの割れてない心と元々、裏で活動してた雨宮と…そして鷹千穗つうこと」
「心が殺される可能性があるとは思わなかったんですか?今なら少しの出血で、簡単に言えば人生に幕引きが出来ますよ」
「たかが血、されど血。先代の血なんかなぁ。動き出したら止まるわけないよな。お前もよぉ知ってるやろ?お前らが思っとる以上に、あれは仲間思いで部下思いやったちゅうわけや」
彪鷹はにやりと笑うと、PCの画面を相馬に向けた。
「俺を下手に会合に駆り出すからやで、顔バレしてもうて身動きの取りにくい事」
「心が…組を守ろうとしていたとでも言いたいんですか?」
「お前らを信頼してるからこそ、動いてるってことやろ?」
相馬はあまり納得がいっている様子ではなかったが、とりあえず彪鷹の向けたPCに目を向けた。
「これ…」
「Thanatosを実質、動かしてるんは梁月笙ちゅう男らしいわ。その梁から聞き出した情報がこれ。来生の息のかかった日本国内の組と拠点やと」
「神童の刺客ですよね。それを信用しろと?」
「Thanatosやぞ?世界を暗躍する殺し屋が来生や神童如きに股肱之臣ここうのしんやとでも?もともと、日本に用事のあった殺し屋と日本に報復する相手がおったはみ出しもんのヤクザの利害が一致しただけや。望みが叶ったんやったら神童も、それこそ来生さえも用無しちゅうこと」
「……」
相馬は無言で目を伏せ、考えるような表情を見せた。彪鷹はそれで何もかも納得したように、得意げに笑った。
「で、どれくらいの兵隊を出せる?」
「いくらでも出せますよ。この拠点を全部潰せばいいんでしょう?」
「香港マフィアが紛れ込んどる可能性が大きいらしいで。一筋縄ではいかんってやつ」
彪鷹の忠告に相馬が声を上げて笑った。
「あなた、自分が身を置く組織がどこなのかお忘れですか?鬼塚組ですよ?その辺の極道連中と同じにしてもらっては困ります」
「せやった、せやった。で、肝心の来生やけど、どうやら中国へ逃げたらしいわ。これは梁月笙でなく心からの情報やから確実」
「そっちはどうするつもりですか?」
「んー?精鋭部隊を送り込む」
「そんなもん居ないでしょ」
呆れたように相馬が言うと、彪鷹が不気味なほど不敵な笑みを浮かべた。
「ふふ…ま、そっちは俺に一任してくれたらええ。あ、そうそう、この拠点の組やけど俺より分かってると思うけど」
「仁流会系の組があるんでしょう?疑わしきは罰するですよ。構いません。悪しき種は芽吹く前に摘んでおくべきでしょ?」
「俺の知ってる言葉と何かちゃうけど、まぁ、お前がそう言うならええわ」
「ところで、これは参考までにお聞きしたいことなんですけど…。あなた方、どうやって連絡を取り合っていたのですか?」
「あー、そうねー。まぁ、えっか」
彪鷹はスマホと取り出すと操作を始めた。そして少しして画面を相馬に向けた。
「何ですか、これ」
「ゲーム」
「ええ、存じてます。ゲームです。あなたが飽きる事なくやり続けていたやつですね」
「そうそう、でな、今ってゲーム内で会話出来るん知ってた?ハイテクな時代よな。ハッキングするなら、今度からはここまでせなあかんで」
「盲点でした。まさかゲーム内とはね」
「相馬、俺は…心以外の人間は誰も信用してへん。お前でさえもな」
飲まれるような強い視線だ。心と重なるその目に、相馬は視線を逸らさなかった。
「良いことですよ」
相馬はそう言うと、冷淡な笑みを浮かべた。