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ちゅっと吸われ、舌で転がされ甘噛みされると、きゅんと下半身に熱が籠った。相馬は一度果てたものの、暁はまだ一度も達していない。
相馬のものを喉奥に出された衝撃で少しだけ萎えた暁の昂りも、相馬の愛撫であっという間に頭を擡げ始めた。
くちゅっと厭らしい音色を響かせながら、相馬の唇が乳首から離れる。暗闇でもてらてらと光り尖るそれは、時折、痙攣するように震えた。
「もっと、舐めて…?」
ふわふわとした浮遊感が暁を襲う。酒のせいで少し気持ちが昂っているのか、かなり大胆な事を口にしたのが自分でも分かった。
相馬はそんな暁の唇を軽く吸って、酒に浸した指をゆっくりと暁の口の中へ沈ませた。
「いっぱい濡らしてくださいね。そしたら、もっと気持ちよくしてあげる」
熱を帯びた声に視界が歪む。じんわりと涙が溢れて、相馬の指に吸い付いているだけなのに暁の昂りからは蜜が零れた。
必死に指を舐めていると、反対の手で腰の辺りから乳首までを何度も何度も撫でられる。それは時に爪を軽く立てながら円を描く様に動いたり、肋を一本一本確認する様に動いたり。そして胸の果実に触れると、指先でこりこりとした感触を愉しむように撫で回される。
その往復するだけの行為に暁は肌が粟立って耐えられなくなって、相馬の指を口から離した。
「も、ダメっ…!」
ぶるっと全身が震えて、今までで一番の量の蜜がどろっと零れた。脳天がざわざわと言い様のない感覚に襲われ、暁は身体を丸めて震えた。
「少し、達してしまった?可愛い…」
相馬は震える暁の身体をやんわりと起こして、両脚をM字に拡げさせると、ふるふると震える昂りに舌を這わせた。
「あ…ああっ!やだ!やめて…っ!!う、あぁぁっ!…んん…んっっ……!」
「あ、倒れちゃダメだよ?見ててくれなきゃ」
相馬はそう言うと、締まりのなくなった暁の口から垂れた涎を掬い、見せつける様にして股の間に忍ばせた。
「あ、や…」
双嚢の奥にある蕾を指先で撫でて、蟻の門渡りを爪で軽く刺激される。まるで一気に長距離でも走ったかの様に呼吸は荒く短くなり、暁はぎゅっと唇を噛んだ。
「唇、噛んじゃダメでしょ」
それに気が付いた相馬が、反対の指に酒を滴らせ、暁の唇まで蜜を運ぶミツバチの様に酒を運んで来た。
暁はそれに舌を出す事で応え、相馬の指に舌を巻き付けてちゅっと吸った。
「まだ入れないから、身体の力抜いて?」
ね?と言われ、暁はぼやける視界のなか、ゆっくりと頷いた。
本当に視力が弱くて良かったと思う。今の自分の格好は、冷静に見ると卒倒しそうなものだろう。
雰囲気と少しの酒に絆されているとはいえ、全裸で大きく足を拡げ全てを相馬に曝すなんて素面では絶対に出来ない格好だ。
「少しだけ入れる?まだやめとく?」
相馬の意地悪な選択に、暁は固く唇を結んだ。震え勃ちあがる雄はだらだらとはしたない涎を絶え間なく垂らして相馬の手を濡らしているのに、どうして欲しいのかくらいそれで分かっているはずなのに、暁の口から求めさせようと入り口を指先で刺激して、それ以上のことはしてこない。
「意地悪…」
「暁が可愛いから」
「可愛くないよ」
「ほら、どうする?」
「…入れて、」
消え入りそうな声で言うと、相馬はにっこり笑って暁の唇をちゅっと吸った。そんな少しの時間も、もどかしさが辛くて早くと腰が自然に揺れた。
「あうっ!!」
くちゅっと鳴いて相馬の指を呑み込む。違和感が拭い去れないが、中の壁を指の腹で撫でられながら抜き差しされると、入り口が痺れてきて声がぽろぽろ零れた。
「あ、あ、あ…や、あ…」
「すごい音だね」
「やだ、って」
言葉にされ頬に紅がさす。身体を支える腕に力が入らなくなってきて、そのままかくっと折れて布団に寝転がってしまった。
すると、今まで中を貪っていた相馬の指がずるっと抜けて、暁のそこは喪失感からきゅっと締まった。
「寝ちゃダメでしょ、ほら、起きて?」
相馬は暁の腕を引っ張って、その身体を起き上がらせた。
「無理、力入らない」
「仕方がないな」
相馬は暁の背中側に回り込むと、後ろから抱きしめるようにして座った。そして脚を拡げさすと、耳の後ろに舌を這わしながら膨らみのない胸を弄り始めた。
「あ、相馬さ、」
「名前、相馬って呼ぶたびにペナルティ与える?」
「え?」
ぎゅっと尖った乳首を抓られて、悲鳴が上がった。多分、そこまで思いっきり力を入れられたわけではないのだろうが、敏感になった暁の身体には強い衝撃だった。
「いたっ、」
「次は、縛るよ、これ?」
相馬は耳朶をやんわり前歯で噛みながら、長い時間解放できずにパンパンに張れる雄の象徴を指先で弄んだ。
その刺激だけで吐き出しそうになっているのに、これで縛られるなんて冗談じゃないと暁は首を振った。
「次、何本入れる?」
相馬は指で暁の唇をなぞりながら、開いた中から舌を引っ張り出した。中指と人差し指で挟んで、にゅるっと滑らす。
そして反対の手では伝い落ちてきた唾液を胸の果実に塗りながら、小さく摘まんでみたり撫でてみたり、愛撫を繰り返す。
「ん、あ…あ、」
「これ、2本とも入れる?」
言葉に出来ず、言葉にしようにも喘ぐことしかできない暁に代わって相馬が言うと、暁はゆっくりと頷いた。それに答えるように相馬は暁の項に口づけて、ゆっくりと秘部へ手を進めた。
恥ずかしいほどにすんなりと指を呑み込むのが分かる。一本呑み込んで、くちゅっと鳴いて、もう一本呑み込む。
初めて肌を重ねた時よりも濃厚な愛撫が続けられ、暁のキャパシティーは限界だった。
指をバラバラに動かされ、ぐるっと回される。不快感はなく、脳天まで一気に駆け上がる電流のような快感に相馬の腕にしがみついて足を閉じた。
「も…ぉっ、はぁっ、あ…ぁぁっあっ!、や…あっ…ぁ…」
ぐりぐりと中に入りこんだ指が、あるポイントを掠める度にあえかな声が漏れ、涙が溢れる。恐ろしいまでの刺激に身体をくねらせるも、相馬に後ろから抱かれていて自由に動き回れない。
「まだ、2本でしょ?もっと広げないと、俺の入らない」
鼓膜に直に伝わるように、耳に唇を付けて相馬が話す。その声はいつもの涼しげな声ではなく、暁の姿に欲情した男の声だった。
「ふ…、あ」
「一回、出す?」
相馬の言葉に暁は必死に頷いた。辛くて辛くて仕方がないのだ。
だらだらと蜜を零すそれが気の毒になるほどに腫れ上がり、欲望を吐き出したいと暁に中から訴えてくる。
じんじんと熱い下半身は、その解放の時を今か今かと待ちわびていた。
「じゃあ、さっきの反対しようか」
ずるっと指を抜いて、相馬が離れる。背中の熱がさっと引いてしまい、暁は心細さに相馬を振り返った。
「さっき、の…?」
「そ、さっきの。ほら、おいで」
相馬は胡坐をかいて、口を開けて舌を出した。それで”何を”なのかを察した暁は、カッと顔を赤らめた。
「おいで」
力の抜けた暁の腕を引っ張ると、暁は何とか膝立ちになって立ちあがった。どくどくと心臓が早鐘を打つ。
ゆっくりと相馬に近づくと、相馬が臍の下あたりにちゅっと吸い付いた。暁がいつも以上に体積を増したように思える自分の熱棒を持ち上げると、相馬は妖艶に笑ってぱっくりと口を開けて蜜を零す先端に吸い付いた。
「あ…ぁぁ…あ…っ、ダメっ、すぐ出…ちゃ…ぁ…」
ちゅうっと吸われるだけで腰が痺れた。凄まじい快感が背骨を伝って、足が震えた。
「限界まで我慢してね?」
限界ってどれくらい?今がもう限界なのに。
月明かりだけが頼りの部屋で、視力の弱い暁はぼんやりとした視界のなか、ぐっと歯を食いしばった。
ちゅぷっと吸われた熱棒は、ずるずると相馬に呑み込まれて行く。まるで食べられている様だった。
暁は喉を反らして天を仰いだ。下腹が痙攣してもう限界に差し迫ったとき、銜え込むために尻を掴んでいた相馬の手がゆっくりと動いて、すっかり濡れそぼった蕾に指が入り込んだ。
「あぁあ!!ん…っ!!!あぁ……っ、ダメッ…ダメダメッ!!!イ、ク!イッ…ちゃっ!!!出、る…っ!!」
暁は相馬の頭を抱え込んで、喜悦の声を上げながら溜まりに溜まった欲望を爆発させた。それは今まで経験した事のないような、腰が抜けるほどの快感だった。
「ひっ、ぅ…あ、ああ、あ…」
一滴残らず絞り出されるというより吸い尽くされるように相馬に嬲られ、暁はそのまま崩れ落ちる様にして布団に転がった。全身の毛穴が開くような快感の尾はいつまでも引かずに、暁の身体を踊らせた。
「ふ…ぅ…ん」
「気持ち良さそう」
「ごめ、なさ…。声、いっぱい出ちゃった」
「いいよ。この間は全然聞けなかったから、今日は聞かせて。それにここは他の部屋とはうんと離れてるから、大きな声出しても平気だよ」
相馬はそう言いながら気怠げになった暁の頬を撫でた。二人して横になって、呼び合う様に口づけを交わす。
何だろう、これ。もう、止まらないと暁は相馬に抱きついた。
「どうする?これから…」
やはり意地悪な質問をぶつけてくるので、暁は片足を相馬の腰に巻き付けた。
「もっと、してほしい」
「やっぱり、大胆だね」
相馬はちゅっと暁の下唇を吸うと、ゆっくりと腰を進めた。暁が片足を相馬の腰に巻き付けているおかげで、濡れそぼって熱を帯びた蕾は曝されていて、すぐに相馬を迎え入れる事が出来た。
入り口で、ちゅっと相馬の先端が蕾に口づけると、暁が吐息と共に熱を帯びた声を漏らした。
「入れちゃう?」
「早く、早く…」
「お酒のせいかな?飢えた野獣みたいだね。ま、俺もだけど…」
ぐっと腰を押さえられたと思うと、つぷっと蕾が一気に広がって熱が入り込んできた。雁高な相馬の雄が煽動する中をずるずると進む。
暁はぎゅっと相馬に抱きついて、その衝撃に耐えた。
「あっ、あっ、…やっ、やっ、やあああっ…あああっ…」
「はー、すごいな、キツい」
ぐっと最後まで腰を進めて、相馬は息を吐いた。
散々、弄くり回したおかげだろうか。それとも、もうそういう受け入れが出来る様になっているのか、はては酒のせいか。
とにかく中の蠕動が凄まじい。ぐにゅぐにゅと蠢いて、相馬の雄を刺激してくるのだ。
「苦しい?」
「…、だって…、おっき、ぃ…」
暁が必死に息を整えて吐き出した言葉がこれだ。相馬は堪らないなと上体を起こすと、腰に巻き付く暁の足を肩に掛け、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「あっ、んっ…あっ、ああっ…くっ、んっ…あ、あぁん…ひぁあっっ!」
「ここ?ここ突く?」
暁の声が一段と高くなる場所を切っ先で突くと、暁がシーツを掴んで必死に頭を振る。
「気持ち良い、でしょ?」
「出ちゃ、そこ、んっ!出ちゃ…!!いやだ、まだ、したい…っ!」
「大丈夫、まだまだしてあげるから、…出してみせてよ」
「や…ぁああ…っ、あ…ぁっ、あぁ」
ぐちゅっと強めに奥を突くと、どろっと蜜が零れる。奥が好きなんだなと思って、相馬は凶器と化した昂ぶりで再奥を突き上げた。
「だ…め、…あ!!あ、あぁ!い、イく…っ!!」
相馬を包み込む細胞一つ一つが一気に強い蠕動を繰り返し、痛いほどに締め上げてきた。
暁は背中を丸め、時折、打上げられた魚のように身体を跳ねさせた。手を伸ばして暁の昂ぶりを撫でてみると、そこは洪水でも起こしたかの様にぐっしょり濡れていた。
「後ろだけでイッたね」
忙しなく呼吸する暁の頭を撫でてくる。何だろう、よく出来ましたってされてるみたいと暁は少し困った顔をした。
それに相馬は首を傾げたが、暁は何も言わずに首を振った。
「まだ、頑張れる?」
相馬の声がぼんやりと聞こえたが、暁はそれに小さく頷いた。
「もっと、したい…」
「本当、困った子だな」
相馬はふっと笑ってそう言うと、力の入らない暁の中からずるっと昂ぶりを抜くと、暁の身体を仰向けにして両脚を持ち上げた。
「泣いてもやめないよ?」
欲望に染まった目つきをする相馬に、暁は震えた。
熱を帯び、柔らかくなった蕾が相馬の灼熱を呑み込む。咀嚼するように蠕動しながら相馬を銜え込むと、離さないとばかりに中の細胞が絡み付いてくる。
息をするのもやっとなのに、暁の中はその行為に順応していた。
「北斗、北斗…」
熱に魘される様に暁が相馬を呼ぶ。相馬はそれに会心の笑みを浮かべると、置いていた切り子グラスの酒を一気に煽った。
そして暁に口づけると、それをゆっくりと流し込んだ。
「ようやく、呼んだね」
「は、ぁ…あ、動いて、俺、変、変になっちゃ…」
挿入したまま動かない相馬に痺れを切らす様に、暁が腰を揺らす。すっかり性の虜となった暁の乱れように、相馬は満足した顔を見せた。
「どうして欲しいの?」
ゆっくりと腰を揺らすと、暁が背を反らした。
「さっきの、さっきの…」
「ああ、奥?」
しっかりと暁の腰を掴んで深い息を吐くと、次の瞬間に相馬は激しく腰を動かし出した。
「あ…ぁ…ああ!…ぁっう…あぁ…んっあ…ああ…!」
ぱんぱんと肌の当たる音と暁の悲鳴が部屋に響く。奥を突かれる度に暁の昂りは蜜を巻き散らし、相馬の腹を汚した。
相馬のそれは長く、暁の奥を抉る様に突き上げて来る。その度に暁は堪え難い快感に身体を震わせた。
酒のせいで思考回路が正常でない暁でも、自分の身体の異常さには気が付いていた。
相馬の熱を美味しそうに呑み込み、必死に絡み付いて蠢く。抜き挿しされる度に捲れる蕾に、はしたない声を上げ悦ぶ。
こんなのダメだと思っていても、中で暴れる相馬の雄を愛おしく思い、声を上げた。
「や、や…やだ、ああ、…ん…!ああ…あああ…っ!」
ぎゅっと閉じた目蓋の裏で、チカチカと光が瞬く。
中のシコリを擦り上げられると、脳を鷲掴みにされるような痺れと快感が身体を支配した。相馬の昂りがぐんっと中で体積を増すと、その全て中の細胞ひとつひとつで感じ取り、暁は指先をきゅっと丸めた。
「暁…」
切なげに名を呼ばれて、一気に肌が粟立った。そして名前を呼ばれたことで、ぎゅーっと相馬を締め付けて蠢いているのが分かった。
その動きに相馬の、暁の腰を掴む指に力が入った。
「ま、あっ…まって!、だ…めだめっ、でちゃぁぁ…ぁっ!」
仕返しとばかりにビクビクと震える暁の昂りに手を添えてきた相馬が、ゆるゆると手を上下に動かしながら、それに合わせ激しく腰を穿ってきた。それに、暁は声にならない声を上げた。
そして、耐えきれずに勢いよく白濁したものを吐き出すと、その衝撃で蠢く中に相馬も叩き付ける様に熱を吐き出したのだ。
「はあ…ぁ…あっ、は<…ぁぁ」
びくびくと、中で吐き出される相馬の熱に、暁はいつまでも身体を震わせていた。