いちごのきせき Miracle de la fraise

空series EVENT


- 3 -

「ただいま、威乃」
「あ!おかえり!」
部屋に通る声に俺は急いで玄関へ向かった。そこに居たのはスーツ姿の龍大。ファッション雑誌のトップページでも飾るくらい、見惚れる姿はいつ見てもエエ男。
初めは年上の威厳とかプライドとか小さい小さい俺の器のせいで、なかなか認められんかったけども!いや、もう逆立ちしても何しても無理やわ。やて骨格から別物やし。
黒のブランドもんのスーツ着て歩く姿はさながらどっかのイケメンホスト。中身に少々難ありやとしても、ちょっとホストにしては人相ってか目付き悪いけど。まさかこいつが目下、極道修行中やなんて微塵も思うてないやろうに。
「どないした、威乃?」
お得意の片眉上げて俺を怪訝な顔で見る。上から下まで見られて、フッと笑われたらそうなるよな。俺なら喧嘩上等か!ってなるけど、俺に砂糖よりもメープルシロップよりも甘々な龍大は俺の身体を引き寄せてギュッと抱き締める。
高い位置から俺の髪に鼻付けて、大型犬は甘えてきよる。
「今日は早いな」
久々じゃね?日付変わる前に帰ってきよるん。
「エエ加減、限界」
龍大は靴を脱いで俺の身体を抱き上げてリビングに向かう。いや、すいません。歩けますけど…と、思いながらも久々の龍大の匂いに俺も嬉しなって太い首に腕を巻き付けた。
はい、バカップル。ってか、ある意味、終わってるカップル?馬に蹴られて何とやら、みたいな?龍大は俺をソファに座らすとスーツのジャケットを脱いで、ネクタイを外す。まぁ、フェロモンむんむん。
飢えたメスブタに見せたら、一巻の終わりよ?あんた。
「なぁ、限界ってなにが?」
「ん…?」
龍大はシャツのボタンを外すと、俺をまた抱き上げてそのままストンと座る。俺の下に龍大。これもいつものパターン。もう、これが当たり前みたいになってしもうてるんが、かなり…アイタタ、です。
で、更に龍大は俺を赤子のように持ち上げると対面に座らせて、そこでようやくと言わんばかりに大きく息を吐いて俺をギューッと抱き締めた。てか、あまりのパワーに俺の背中の骨がポキッと鳴った。骨、折られる…。
「威乃が足りんで、限界ってこと」
「ほんま、お前って俺好きやねんから」
ププッと笑うけど、愛されるっていうんは悪くないと思い始めてる。

「う…はっぁ…りゅ、う」
下っ腹がぐーってなる。ナイトテーブルの上で仄かに怪しく光るライト。ベッドの上で縺れ合うのが男女やのうて、男同士。それが普通になりつつある感覚が末恐ろしいけども、この状況を受け入れてる自分はもう後戻り出来んとこまできてる。
クチュクチュと卑猥な音を立てて、龍大のデカ過ぎるほどに育った雄を口一杯頬張ったり、舐めたり。その龍大の顔の方へ、我がの下半身を向けて自分の雄をしゃぶらしてる。ようはシックスナイン。龍大に逢う前の俺が見たら卒倒するこの光景。
「威乃、口」
「わかって、る…ん!!」
テクニシャン龍大は健在というよりも、その手管を磨くだけ磨いて俺は毎回翻弄される。切っ先に舌を捩じ込みながら、後ろに指をぬるっと捩じ込んできて縦横無尽、我が物顔で中を弄られるのに苦痛やのうて快感を覚えるなんて。
育ちに育った龍大の雄をぎゅーっと握って、今にも飲み込まれそうな快感の波に耐える。
「あ、あ、…ちょ、あかん…って…!」
中の秘宝。龍大の長い指がそれを刺激して、俺の精一杯の忍耐を打ち破ろうとする。太腿が痙攣して今にも吐き出しそう。でも、そこだけ男になって我慢勝負したら、下やのうて上。目から涙がブワッと出た。
「は…あー!もう、い、イクッ…!あ、あ…」
達かす気なんか、龍大は秘宝を少しだけ強く押したり擦ったし。それに加えて、龍大の長い舌は俺の雄にぐるりと蛇の様に巻き付いて扱く。
もう我慢大会とか即放棄。とりあえず達きたい。頭ん中、それしかなくなったら、その高みへ向けて一直線。
「ふ…っ!イク、イクっ!あ、ああっ!りゅ、龍大…!!んー!!!」
心臓が一瞬だけ高い音を打つ。龍大の口がきゅっと閉まって、俺の吐き出したもんを吸い尽くすように吸う。もうそこから血液も魂も、全部出た感覚に俺の身体は痙攣が止まらん。
「あ、ああ…、ん」
ずるっと指が抜けていく感覚に震える。全身の力なんか入らんくって息が100mを全力疾走したみたいにあがってる。
でも、しんどいとかツライとか苦しいとかのんやのうて、ふわふわ。そんな俺の身体を龍大は軽々持って俯せにしてくる。容赦無しか、おい。
「龍、大…」
「挿れる」
「ちょ…っ!」
ちょっと待って!とかそんな俺の制する腕を龍大は反対に掴んで、育ちすぎた凶器にも似たそれをぐちゅっと卑猥な音色とともに挿れてくる。
きっと龍大は挿れられたことないから知らんねん!人間、何でも慣れって言うけどな!どうやってもやっぱり、あないな場所にあないなもん挿れられる時は心構えがいんねん!
「んー!!!」
熱い!焼ける!それくらいの灼熱。ぐーっと遠慮なく奥の奥まで入り込む熱は俺の奥を突いてきて、俺はひっと声を上げた。それに龍大は気遣うこともなく、緩やかに腰を打つ。
「あ、はっ…あ、あ、あ…あぅ!りゅ、龍大ぃ…」
シーツを無茶苦茶に握って、その強い刺激から逃げようと腰を捩っても馬鹿みたいにでかい手ががっつりホールド。
離す素振りもその力を緩める素振りも無く、揺さぶられる俺は女の様に啼くしかない。龍大の舌に舐め回されて扱かれた俺の雄は、龍大が中から与える強い刺激に反応してすっかり元気。
節操無しの息子は龍大の腰のリズムに合わせて、ゆらゆら揺れとった。
「は…っ、威乃」
龍大のたまに吐く熱い吐息が好き。名前呼んで俺の中で気持ちようなって、少し震える龍大のそれが好き。
動きを止めた龍大のおかげで、俺もようやく呼吸を整えることが出来た。はぁはぁと荒い息を獣の様に吐きながら龍大の重みに幸せなんて感じとったら、龍大がひくひく震える俺の雄を何の前触れもなく握ってきた。
「おい!」
「気持ちエエ?」
「あ、やから、勃ってるっ…あっ!」
龍大が項に吸い付きながら、腰の動きを再開する。それとともに肌触りのええシーツに俺の雄を擦り付けるもんやから、俺は悶絶状態。
「りゅ、りゅっ…ん、ん、あ、は…っ!!ひっ…!ああ、いや…っ!」
堅い龍大の熱棒が、俺の秘宝を擦る。それにブルブル身体が震えて、耳を塞ぎたくなる様な喘ぎ声とともに涎が垂れる。
俺が零した快感の涙で滑りのさらによくなったシーツに、ギンギンに育ってる雄の切っ先をつるつる滑らして、こそばいような気もするけど、いやそれ以上に腰がぞわぞわ。
ぶるっと震えて更に涙を零してるのに、龍大のでかい手は器用に扱きながらシーツに切っ先を擦り付けてくる。
「あ、いや!ちょ、ああ!!ひっ!あああ、あ、龍大っ!や、やめて!」
頭のてっぺんから足の先まで一気に電気みたいなんが走って、龍大を受け入れてる後ろがギューっと締まった。それに龍大が息を詰めたけど、こっちはそれどころじゃない。
のたうち回りそうな快感に悲鳴しか出ん。怖いとか、嫌とか、そんなんしか言えん。
「ああ!い、やぁ…あ、あ、待って、待って待って!!あー、出ちゃ、出ちゃう!!」
「ええよ、イッて。思いっきりイッて」
後ろから耳朶を噛まれて、俺は腰を捩った。頭が真っ白になる。宇宙空間にポーンッと投げ出されたみたいに、フワフワ。
「あー!!イクっ、龍大っ!あー!あー!イクっ…!」
いつの間にかシーツは俺の吐き出したもんでぬるぬる。そこにまだ擦り付ける様に、龍大のでっかい手で握られた俺の雄が行き来する。
ぬるぬるなんが気持ちエエし、後ろに痛いくらいに感じる熱い熱の塊がたまらんくって、俺は全身痙攣さして二回目の絶頂を極める。
達く瞬間は声も出んくて、身体が強ばって痙攣して無茶苦茶やのに龍大はその俺の身体にがんがん腰を打ち付ける。
「ひっ!りゅ、あああああー!!いや、いや!いやぁぁあ!」
俺は達って、もう快感に酔いしれてんのにその雄を龍大はいつまでも扱く。同じ男ならそれがどんだけ苦痛なんか分かるはずやのに、龍大は俺のぐちゃぐちゃになった雄の先端を親指の腹で撫で回す。そうしながら中の秘宝を己の凶器で擦りあげられて、俺は半ばパニック。
「いやぁぁあ!!!…っ!りゅう、りゅうだ、やめて!いや…あ、あんっ!!ああああ!」
「あー、めっちゃ中すごい、うねる」
「離してっ!…あああああ!や、何か、なん、か…変!…はっ!ああ!あああ!変!!」
「変なれ、威乃、…俺も、中に出す…っ」
「いや!いや!!あー!な、きちゃ、何か、く、くるぅっ!あああああああああ!!!」
どくんっと中に火傷しそうなくらいに熱い熱が叩きつけられて、それと同時に俺は撫で回されてた先端から透明の液を噴射した。
どろっと垂れたとかやのうて、勢いよう一気にプシャッと。ガクガク震えて暴れる身体を、龍大が後ろからぎゅっと抱きしめる。
「は、あ…ん…っ、あ…ああ、あ」
何度か小さい痙攣を繰り返して、ポタポタと零すのをぼんやりした頭で見ながら思う。無色無臭、え?まさかの…潮吹き…??え?野郎が…?
とか混乱する暇もない。思考回路はショートっていうより、大炎上の痕みたいにぷすぷす燃え滓が燻ってる状態。
身体の痙攣が止まらんくって、ずーっと達ってるみたいなそんな感覚。ぎゅーっと抱き締めてくる龍大の腕がなかったら、へにゃんと潰れてそうなくらいに身体が無気力になる。
「はぁ、あ、あ、…うっ」
自分の身体が自分のもんやないみたいになって、俺はボロボロ涙を流した。
「威乃…?」
「ひ、酷い…あほ、アホー」
うええええんって言ってまいそうなくらいの勢いで泣く俺に龍大は慌てて後ろから凶器を抜いて、俺の身体を抱き締めた。
「ごめん…威乃がめっちゃ可愛て」
可愛かったら男にあろうことか潮吹きさせんのか!とツッコミたいけど、それも出来ん。
相変わらず身体は小刻みに痙攣。全ての感覚がもう快感に直結されたちょっとした全身性器みたいなってる自分が恐て、やっぱり泣いた。
「威乃?」
「…うぅ…いや…、きらい、龍大」
さすがにショックが消えへん。潮吹きなんか漏らしたんか、どっちにしても龍大の顔なんか見られへんくらいの羞恥。羞恥心が欠如しとったとしても、これは無理。
顔を覆って、ぐずぐず泣く俺の身体を龍大が持ち上げる。力の入らん身体はぐにゃり、軟体動物みたいにされるがまま。
「嘘でも言うな」
何を?と龍大の顔を見て、えらく怒ってるような傷ついてるような顔。え?何その顔。ちょっと待って。俺が悪いの?
やて、やめて言うたのにやめてくれへんお前が悪くない?怒りたいし、傷ついてるん俺ですけど?
「でも、ひどい…」
「うん」
龍大は俺を自分の上に背中を向けて座らせる。後ろからぎゅーっと抱き締められて、ぐちゃぐちゃの顔は見られへんかった。