落花流水

空series spin-off


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「待って、待って、あ!ちょ…!」
何の価値も意味もないと思っていた乳首をベロっと舐められ、腰が跳ねた。ハルは梶原を引き離すようにして「待って!」と言うと涙目で梶原を睨んだが、色気を示すそれに梶原は笑うだけだった。
「マウント取られて焦るなよ」
「だって…!」
薄い胸板に顔を置いてハルを見る。心臓の鼓動が早い。グッと力を入れたら折れそうだなと、この年ってまだ成長過程途中なんだなと改めて年齢差を感じた。
「身体、痛ないって言うたやろ」
確かに鉄パイプで殴られてもダメージを半減させる技を心得ているとは言ったし、実際、怪我もそんな大したことはない。とはいえ、それならと服を剥かれて身体を舐め回されれば焦る。
ハルは何とか落ち着きを取り戻そうと深呼吸をして、とにかく待ってと手で梶原を制した。
「思ってもないところから可愛い年下の恋人が出来りゃ、おっさんもテンション上がる」
制された手を掴まれ掌をレロっと舐められ、ビクッと身体が跳ねた。
「キャラちゃうやん!!」
「そりゃそうやろ。日頃からこんなんで極道務まるか。大人はオンオフのスイッチが自動で入るねん」
よっと足を持ち上げられ、梶原が自分の肩に掛けた。その光景を目の当たりにして、ハルはもう無理と半べそになって顔を背けた。
「いつもは人のもんにしゃぶりついてくるくせに、こうなると乙女って何それ」
そうどこか嬉しそうに言うと、ローションを手に垂らしてハルの緩く勃ち上がった陰茎に塗ると、ズルッと扱く。若さかな、少しの刺激で完全に硬くなるそれに気を良くして、その奥の窄まりにローションを塗った指を滑り込ませた。
「あ!待って!何、ローション!?」
「準備万端やろ。逃す気なかったからな」
「何それ…あ!待ってってば!」
「うんうん」
返事をしながら窄まりの周りを刺激して、陰茎から垂れてくるローションを緊張から絞まるそこに撫でるように塗る。少し指先が触れるだけで肩に担いだ足が跳ね、待ってと小さく繰り返す。
「泣くなよ、お前の涙にはどうも弱いらしい」
俺も最近、知ったと独り言のように付け加えたが、時すでに遅し。目いっぱいに涙を溜めて睨まれると、入り込もうとした指も止まる。
するとハルが両手を広げた。
「キス」
いつものハスキーな声に甘さが加わるとかなりエロいなとおっさん臭い事を思いながら、仰せのままにと唇を重ねた。
舌をねじ込んで歯列をなぞり、唇を甘噛みして引っ張り出した舌を吸う。蕩けた顔でされるがままのハルの身体の力が抜けた瞬間に、止めていた指を窄まりにねじ込んだ。
「う…あ!!」
奥へ進もうとした腕を掴まれ、待ってと目尻に涙を溜められると流石にそれ以上に動かす気になれずに、目尻の涙をベロっと舐めた。
だが痛みというよりもこれは違う感覚に戸惑っている感じだなと、蟻の戸渡と呼ばれる箇所を親指でグッと押して中に入り込んだ指をぐるっと回すと肩に乗せていたハルの足が跳ねた。
「はっ…!な、何」
じーんっと中から痺れるような感覚に困惑しているハルに、良い反応と唇を唇で噛んで食うように口付けると更に指を増やした。
「なんか…お前、自分で弄ったことあるやろ」
言うとハルが枕で梶原を殴った。いや、これは失言。デリカシーがなかったなとお詫びに中でぐるっと指を回す。
「ひ…っ!う、ん…、あぁ…」
鼻から抜けるような声は甘い吐息を含んでいて、梶原の腕を掴んでいた手の力は抜けて快感を追うように少し腰を振っている。気を良くした梶原は、指をバラバラに動かしながらハルの中に入り込む準備を始めた。

「…っ!あ!ああ、い、イク、またイクって…!」
「イけ、ほら、ここやろ?」
何度目かの吐精にハルが背を反らす。勃ち上がったペニスをぎゅうっと扱いて先端を指の腹で撫で回すと、トプッと白味がかった蜜が溢れた。
さすがに3本目の指を入れたときハルがキツさに顔を歪めたので、梶原は陰茎を弄って気をやる事に集中させた。吐き出せば吐き出すほど身体の力は抜け、指を増やして入れ込むのにも抵抗はなくなってスムーズになっていた。
だが達しすぎたことで頭がぼんやりとするのか、全身の力が抜けて軟体動物のようだ。
「もうえっか」
梶原は転がるハルの顔に自分の屹立を持っていくと当然のようにハルは口を開けて、それを咥えた。
「お前、フェラ好きやな」
初めっからしゃぶりついてきたもんなとハルの熱った身体を撫でて、完全に勃ち上がるそれを口から抜くとコンドームを嵌めた。
「うつ伏せの方が楽らしいけど、顔見たいよなぁ」
全身の力も抜けてるし、まぁ大丈夫かと枕を重ねてその上にハルの身体を転がした。そして足を抱えるとスルッとその間に入り込み、ひくつく窄まりに陰茎をくっつけた。
「怖い?」
「平気…あんたがむちゃくちゃするから後ろの感覚ない。とにかく、何か突っ込んで欲しい」
「すごい事、言うなぁ」
梶原は笑って、ゆっくりと腰を進めた。女のそこと違いむにゅむにゅと咀嚼されてるようだ。そして本来はそういうことをするところではないので、侵入をまさに拒んでいる。
先端を少し入り込んでところで、ハルの顔を見るとさすがに指と違うそれに指先の色が変わるくらいシーツを握りしめていた。
「まぁ、痛いわな」
無理かと腰を引こうとすると、梶原の腰にハルが足を回した。
「やだ、出てかないで…」
「いや、平気やないやろ。急かさんでも、いつでも出来る」
「やだって、中、きてよ」
あんまりそういう事を言わないで欲しいなぁと思いながら、ローションを多いほどに垂らして少しづつ腰を振る。
「腹に力入れて、下っ腹」
「あ、あ…いった、でかいんだよ、あんたの…」
「お褒めの言葉、大変ありがたいけど…どう?」
ハルの萎えた陰茎をゆるゆると扱くと、徐々に後ろの力が緩んでくる。もう少しかと寒さからか痛みからか震えるハルの乳首を指先で摘んで転がすと、ビクッと腰が跳ねた。
「そこ!やだ!」
「なんで?可愛いで。めっちゃ主張してる」
ぐっと身体を倒して平な胸に舌を這わして乳首を口の中で弄ぶと、扱いていた陰茎がぐんっと体積を増した。
じゅっと吸い付いて舌で愛撫してハルの声色が変わった瞬間、梶原は1番太いところを抉じ開けるようにして押し込んだ。
「う、ああああ!!あ、はっ!!」
絡みつく細胞。激しい顫動に思わず息を詰めたほど、ハルの中は快感の坩堝だった。
「いきなり、あ…は、ん、あつ」
「ちょっとづつの方がしんどいやろ。はー、しかし…」
名器かと梶原は小さく腰を揺らした。ハルを押さえつけて思いっきり腰を振りたい。それくらい気持ちがいい。
入れてるだけで凄まじい顫動で中の梶原を刺激してくる。
「違和感パネぇ」
「そりゃね」
そういうことをするところじゃないからね。梶原はハルの顎を取ると口付けた。
舌を絡めながら緩やかに腰を穿つ。繋いだ唇の横から漏れる声に腰が撫でられるくらい興奮する。
ローションが肌が当たるたびに卑猥な音を奏でる。ハルは梶原の腰に足を回すと、無意識かグッと締めてきた。
「奥?」
少しだけ離した唇の隙間で聞くと、ハルが頷く。梶原はフッと笑うとハルの両足を肩に載せると、グッと奥へと腰を進めた。
「あ!ちょ…ああ!あー!」
散々弄り回した甲斐があったのか、奥へ腰を進めても痛みよりも快感があるようだ。梶原は満足げに笑みを浮かべると、ズルッと腰を引いて、今度は遠慮なく奥を一気に突いた。
「うう!!ああ!!あ、ま、あ、あぁ!」
何度かそれをしていると、梶原もたまらなくなり動きを止めようとするハルの手を掴んで片手で拘束すると、只管、ハルの声色が変わる場所を男根で突き上げた。
トロンとした表情で甘い声を出すハルに合わせて腰を回し、奥だけを突く。ハルの勃ち上がった陰茎から蜜がポトポトと垂れ、ハルの腹を汚しているのを見ると中にいた梶原が更に膨張した。
「ん!も、無理…!」
暴れ出すハルの手を離せば、無茶苦茶に自分の陰茎を扱く。締まりのない口から出る舌を吸って、梶原も痛いほどに腰をぶつけるとハルが小刻みに震え出した。
そして中にいる梶原をグッと締め上げたかと思うと、腸壁が一気に煽動を始めた。それに堪らず梶原がハルの中から出ていくと、その衝撃でハルが吐精した。
押さえた手の隙間から溢れ出る蜜にハルが止まらないと身体を震わせる痴態に、梶原はゴムを取るとハルはその震える男根を咥え吸い付く。
すぐにハルの顔を掴んで2、3度、腰を振るとその口の中に溜まった熱を吐き出した。
嚥下しながらハルはまた自身の陰茎を扱いて、身体を震わし達したのだった。

「めちゃくちゃに腰振られて、口に出されて…」
はぁ…っと熱い吐息を吐き出し、緩く腰を振る。中にいる梶原を自分の中にある快感の芽でもある前立腺に当てながら文句を言われてもなと、上で踊るハルの唇を指で撫でた。
すると、そうするのが当然とばかりに口に含まれしゃぶられる。
「淫乱やなぁ」
「うるさい…」
トプッと先端から出る蜜を見ると、言葉で攻められるのも嫌いじゃないようだ。
痩身で、まだ未熟な身体を掌で撫でる。喧嘩に明け暮れていたというのも伊達ではなく、腹に付く筋肉は格闘向きの付き方だ
筋肉をつける事を目的としたものではなく、喧嘩で自然についたものということ。
顔を反らして喉を晒して快感に耽る痴態は、究極のエロスだ。赤く染まった胸の飾りを指で撫でると、梶原を飲み込むそこがキュッと絞まった。
「ん…気持ちいい…」
腰を回して息を荒くして、梶原の腹に手をつくとそのまま口付けてきた。梶原は口付けながらハルの陰茎を握り、数回、扱くと手を離す。
ビリビリと痺れるような快感に浮かされたハルは、梶原の手を掴むと自分の陰茎を握らせた。
「出るやろ」
「ゆっくりして」
僅かに離れた唇の距離で会話をしながら、また口付ける。色香で掠れた声が艶っぽい。梶原はハルの望み通り、ぐちゃぐちゃに濡れたそれをゆっくりと扱いた。
「ここ、縛るか?」
「やだよ…」
「縛ればいかれへんやろ。それならどんだけここ、扱いても出さんで済む」
想像したのかハルがブルっと震えた。梶原は口の端で笑うと薄い耳朶を撫でた。
下からゆっくりと突き上げると、ハルが眉根を寄せて息を荒くしていく。若い身体に歯止めが効かないってこういうのかなと思いながら、細い腰を掴んで強めに腰をぶつけるとハルが子犬の様に鳴いた。
「もう、いっちゃう…」
ボロッと涙を流して、唇を噛んで耐えているが前立腺云々ではなく、中が全部気持ちがいいのだろう。梶原は起き上がるとハルの身体を抱きしめた。ハルは両足を梶原の腰に巻き付けて抱き着くとその太い首に吸い付いた。
ぐちゅぐちゅと接合部かいやらしい音を立て、ハルの身体に力が入る。陰茎を梶原の腹に押し付けて、きゅっと指の先に力を入れるとキスを強請った。
梶原がそれに応えると、ハルは口づけて最後とばかりに何度か強く腰を振って、梶原の腹を汚しハルに締め付けられ蹂躙された梶原も熱を吐き出した。

ベッドで寝転がりハルの身体を後ろから抱き締める。その抱き締めた先にある手の指をハルが弄る。まだ余韻冷めやらぬという感じで熱ったままの首筋にキスをすると笑われた。
「意外にキスが好き」
「え?そう?」
自分ではそんなつもりなかったのになと思ったが、言われてみるとずっとハルの身体のどこかにキスを落としているような気もする。
「風間のさ…」
ここで他の男の話かと思った自分に驚いた。今まで思ったことのない感情だ。ハルにはすべてイレギュラーになってしまう。
何だか新たな自分発見という感じで悪い気はしない。
「もし、威乃のこととかバレたらやばそう?」
「うーん。親父の頑固さは歳を取るごとに酷くなってる。心が…ああ、鬼塚組の組長な、それが就任してから更に頑固。龍大さんは無茶なことはせん賢い人やけど、心は傲岸不遜というか、まさに王様みたいな男やからなぁ」
「え、それ関係ある?」
ハルが振り向いて梶原を見上げたので、軽いキスをしてサイドテーブルに置いてた煙草を咥えた。そこで、ここ禁煙って言われたなとハルを見ると仕方がないとばかりに頷いた。
「その心が付き合ってる奴がいるって報告に来てな」
ライターで火を付けて一服目を深く吸い込む。肺に入り込む煙を味わいながら、ゆったりと吐き出した。
「極妻か、そういう報告もいるんやな、あんたら」
「それやったら別に問題ない、所帯持つことで落ち着くって言われるのがこの世界や。やけど心の場合はそれが男やったわけよ」
「え!」
「他言するなよ」
「いや、俺、賢いから」
「あん時の親父の怒りようは…。血ぃ見たもんな」
少しだけ遠い目をする梶原に身体ごと振り返って首に腕を回して口付けると、唇で唇を挟んだ。軽く挟んで離して舌で舐めると、ふっと笑われた。
そして腰に手を回され深い口づけに代わると、身体の熱が再発する前に身体を捩った。
「やり殺す気かよ」
「まさか」
梶原はまだ吸いきっていない煙草を灰皿に押し潰して火を消して、ハルの細い首に小さく吸い付いた。
「ちょ…、なぁ、俺のこと、バレたらヤバいんちゃう」
「そん時はそん時やろ。一般人になるんも悪ない」
本心かどうかも分からないことを言って梶原はハルの額にキスをした。