空、雨、涕

空series second2


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「なんか、映画の話みたい」
威乃がため息と共に言葉を吐き出した。謎、秘密、隠されれば覗きたくなるのが人の性だ。それを覗けば抹殺されるなんて映画の中だけの話だと思っていた。
それこそSNSがここまで普及してしまえば、その難しさも格段と上がるのではないだろうか。だが暴かれぬまま現在もいるということはそれだけの力があるということ。
「小さな国くらいなら簡単に買ってしまうことも出来るとも言われとる財力まで持っていたら、誰もが喉から手が出るほどに持ちたいコネクションですよね。それを持つのがハルの兄貴が”偏愛”しているという極楽院っていうのがね」
とんでもないところでとんでもない繋がりだと苦笑いをする。
「えー、全然そんな感じないけどなぁ?初歌くんって、全然ぼんやりした人やで。やていうても俺もハルも詳しくは知らへんけど、憧れるとかのレベルやない、ちょっと引くほどの富豪っていうのは何となく知ってるくらいやけどな。そのヤバい何とかハート一族との付き合いまでは知らんもん」
「いや、待ってくださいよ。極楽院の息子って、あの爺、80近くなかったですか?その初歌くんっていくつですか?遅くに出来た子ですか」
「極楽院は女系で女ばかり生まれとって、それ相応のレベルの男を婿に取り続けてたんやけど、そこでようやく生まれたんが初歌くん。せやけど生まれながら心臓に爆弾抱えとって長いこと生きられへんかもって言われとってー。まぁ、これも手術して遠い昔の話やけど。で、せっかく出来た待望の男の子がそんなんで長いこと生きられへんっていうんで爺さんが養子に取ったらしいよ。初歌くんが言うてたからこれはガチ」
「変な話やな」
龍大が片眉を上げた。
「あー、夏にぃがちょっと言うてたけど…初歌くん、爺さんの子やて」
「は?爺さんのって」
梶原がギョッとした顔をした。
「自分の娘との子か」
龍大がそれなら納得という顔を見せたが、梶原だけが聞きたくなかったという顔を見せた。
「そんなネタ…」
「売ったらあかんで」
「いや、売れませんよ!恐ろしい。さっき話したでしょ、極楽院ですよ!?」
「まー、それやもんで爺さんは初歌くんに甘いのなんの…。べろべろに甘やかしてやりたいことなんでもやらしたい放題」
「そんな男によぉ名取の兄貴も近づけたもんやな」
一番、近づけたくない危険分子ではないかというところか。それに威乃も頷いた。
「俺もそう思うてんけど、初歌くんは何回か誘拐されかけてんて。金持ちあるあるみたいな。ほんでも何人も付いてるボディガードが倒れても夏にぃが初歌くんを守り抜いてきたみたい。周りがどれだけサイコや何や言うても初歌くんに傷一つ負わしてないってだけで爺さんの信用なんて簡単に得れるやん?それを知ってか知らずか夏にぃは初歌くんを守るために日々、いろんな人間に喧嘩売って腕を磨いてたんちゃうかってハルが。ちょっと大事になっても極楽院が握りつぶせるし、何やったら夏にぃの人生、初歌くんに逢った瞬間に初歌くんのためだけに回ってんねんて。俺も二人見て知ってるけど、同感」
「え、ちょっと…ヤバイ男やないですか。いや、一番ヤバいんジジイでしょ」
「ジジイ、ヤバいよね。見抜いてんで、夏にぃのサイコな部分。人間兵器とかハルはふざけて言うてたけど、どんだけヤバい国に行っても初歌くんは傷一つ負わずに帰ってきてるんが証拠やんな」
「おいおい…」
「俺も、夏にぃは怖いなぁ。あの息詰まった感じ、この人、この息詰まり限界きたらどないなるんやろって、よぉ思ったもんな」
兄貴と紹介されたときにはすでに隣には初歌が居て、夏色の目に威乃は写ってはいるものの”人である”という認識をされた程度のように感じた。
まるで忠犬のように、いや、そんな立派なものではない。傷だらけの狼がようやく見つけた主人を守るかのように全身を尖らせているようで、何て生きにくそうなのかと思ったものだ。
この人は人から空気を奪えば生きていけないように、初歌が消えてなくなってしまったら死んでしまうんだろうなと何も知らない威乃でさえ思ったほどだ。

梶原の帰ったあと威乃はベッドに転がってレシピを見ていた。その身体の上に風呂から上がってきた龍大が伸し掛かり、潰れるー!と叫んだ。
「俺も勝たれへんのか」
「え?何が?」
体勢を変えて龍大を反対に寝転がしてその上に跨るように座ると、ベッドサイドにレシピを投げた。
「名取兄」
「夏にぃ?え?」
もしかして、それがずっと突っかかっていたのかと笑うと、片眉が上がり不満そうな顔の龍大にまた笑った。
「やて、龍大は目の前に敵が来たとしても、いきなりズドンはせんやろ?そうやな、足とか腕とか狙うやろ?」
「チャカの話か?俺はチャカは持たへん」
拳勝負やと潰れた拳を見せつけられたが、威乃がその手をやんわり退けた。
「夏にぃは紛争地で傭兵してる言うたやん。拳なんかで勝負出来ひんやろ」
むぅっとした顔をするので威乃はにっこり笑って人差し指で龍大の形の良い額を軽く突いた。
「夏にぃは目の前に敵が現れたら躊躇なくヘッドショット。ぶっちゃけ初歌君以外は地球上の人間、全部敵かも。それくらい躊躇いも迷いもない、人殺すことに罪悪感とか一切のうて、ちょっとゾッとする」
「サイコパスってそういうことか」
「俺は優しい龍大が好き」
言って鼻先を合わせるとすぐ唇を重ねた。Tシャツにハーフパンツで寝る気満々でいた威乃の太腿を撫でながら、舌を絡めると威乃の息がどんどんあがっていく。
Tシャツの下から手を入れて手触りの良い背中を撫でると、ビクッと威乃の身体が震えた。
「相変わらず、キスに弱い」
「しゃーないやろ、気持ちええんやもん」
目元を潤ませながら言われてもなと上体を起こして威乃のTシャツに手を掛けると、子供のように手を上げる威乃にフッと笑った。
そのままTシャツを脱がすと赤く尖った果実を指先で撫でて口に含んだ。大袈裟なくらいに威乃の身体が跳ねたがグッと腰を引き寄せると勃ち上がる雄が龍大に当たった。
ピチャピチャと音を立てながら攻め立てると、子犬のように鳴いて龍大に抱きついてきた。
「なんも、おもんないやん、もうっ」
平べったい胸にあるそこを執拗に責めることを威乃は嫌うが、龍大からすれば存分に昂らせてくれる宝石だ。何なら1日中、身体を舐め回しても良いくらいに威乃の身体は龍大からすれば最高に快楽を与えてくれるが最愛の恋人はそれをなかなか理解してくれない。
どこかでまだ、男の身体なのにというのがあるようだ。
「龍大…」
甘い声で呼ばれると龍大は威乃の身体ごとベッドに転がった。すると威乃は龍大に軽くキスを落とすとおずおずと下へと下がっていく。
そして膨らんだ龍大の下腹部にスウェットの上から歯を立てるように甘噛みをすると、スウェットに手をかけておずおずと脱がしにかかる。
すぐに育った龍大のペニスが顔を出し、威乃が「うわぁ…」と少し引き攣った声を上げた。
「最近、威乃、よくするよな」
何をとは聞かずに威乃は龍大のペニスにキスをするとずっしりと重いそれを手にして、浮かび上がった血管を撫でるように舌で舐めた。
「凶器みたいにえげつないと思うけど、何か舐めたら安心する?みたいな」
いや、安心ってなんやと一人ごちして、またチュッと吸い付いた。
「それに、テクのあらへん俺でもどんどん育つんが嬉しい」
「威乃やからやろ、しょーもないこと言うな」
「変な意味ちゃうもん。俺のやねんなっていう実感?再確認」
ふふッと笑って目一杯に口を開けて先端から咥え込むと、ゆっくりと顔を上下させる。じゅぶじゅぶと淫猥な音をさせながら、辿々しいながらも必死にフェラチオに励む姿だけで達そうで龍大は手を伸ばして威乃の髪を撫でた。
下手ながらにどこをどうすれば気持ちが良いのかくらいは、同じ男なだけに分かるのが良い。少しだけ口を窄めて舌を絡めて吸うようにして咥えると掘り込まれた腹筋が震える。
彫刻のように彫り込まれた腹筋を指先で撫でてみる。筋肉の筋をなぞりながら、喉を膨らませて奥まで飲み込むとズンっと口の中で跳ねた。
「威乃…」
腕を掴まれて引き上げられる。名残惜しいとばかりに口から銀の筋を垂らしてペニスが抜けていった。
「もう、堪え性のない」
まだ咥えたいと訴えてみるが、軽い威乃の身体はそのまま龍大の好き勝手に上へと持っていかれてズルッと下着ごとハーフパンツを脱がされた。
龍大のとは比べようにもならない威乃のペニスもズルッと顔を出し、龍大がそれを大きな手で包み込んで上下に擦り始める。「いきなり!」と抗議した視界に入ってきたのは龍大がナイトテーブルからゴソゴソと探り出した瓶だ。
トロンとした液体が瓶の中で暴れている。それを目の前に持ってこられて渋々、蓋を開けると龍大が自分の育ち切った凶器とともに威乃のペニスを掴んだ。
「あ…っ!」
反り立った雁首がゴリゴリと当たり思わずそれを凝視する。二つのペニスを擦るという視界からの刺激に背中を撫でられるような快感が威乃の顔に現れた。
龍大はそれを見ると威乃と唇を合わせて僅かな隙間から舌を捻じ込み、口の中を縦横無尽に這い回る。僅かな隙間から漏れる甘い息に気を良くしてペニスから手を離すと、威乃が何も言わずにそれをまた握った。
「気持ち、良い…」
すっかり快感の虜となった威乃が扱くそこにローションを垂らすと、龍大も思わず息を詰める。ローションで滑りの良くなったそこを威乃が片手で握って、もう片方の手で先端を掌で撫でまわし始めたからだ。
「出てまうぞ」
「あ、だって、あ…!りゅう、」
ぐじゅぐじゅ音を奏でるその手を止める気はないようで、龍大は掌にローションを垂らすと龍大の上に乗ることで隙間の出来ている威乃の下腹部に手を入れ蜜壺に掌のローションをべたっと塗りつけた。
「うわ…!」
「あ、塗りすぎた」
「気持ち悪…」
思わず悪態付く威乃に片眉を上げると、たらッと垂れるそれを指で掬って躊躇なくひくつく窄まりに捩じ込んだ。
「ひっ…」
「ほら、ちゃんとして」
最初の不快感はどうしても慣れないようで、龍大は身体を揺らしてペニスを刺激しろと耳朶を軽く甘噛みした。威乃もそれでどうにか不快感から逃れようと、本格的に扱くスピードを上げ出した。もちろん先端を掌で刺激するのも忘れない。
はぁはぁと息を荒くする威乃の後ろを指を増やしながら拡げていけば、ブルブルと全身を震わせて威乃が甲高い声を上げた。
「ここ、ええな」
龍大の長い指が威乃のペニスの裏側にある秘宝を強く撫でる。うんうんと頷く威乃が自らも腰を振ってみせるので、龍大は思わずニヤリと笑い舌なめずりをした。
グーっと強めに押しながら余った手で威乃の手を押しどけて先端の尿道をひくひくと引き攣らせるペニスを握り、前も、後ろも中から犯せば威乃がぼろっと涙を溢した。
「ま、待って!や、いや!いっちゃ、これイク、イク、出る!りゅ、龍大…っ」
強すぎる快感から逃げるように龍大の足を跨ぐ格好で膝立ちになった威乃のペニスは限界寸前で、龍大はそれを見ると口を開けてパクッと咥えた。威乃はそれに驚いたが、生暖かい口の中に迎え入れられ吸いつかれれば躊躇うことなく腰を動かし始めた。
「や、だっ……や……やっ……イクっ!くち、口離して、出る!ああ!!ダメっ!!」
最後の攻めとばかりに後ろを思いっきり押し潰せば威乃が龍大の頭を掻き抱いて、息も声も詰めて口の中に吐精した。吸い付きながらそれを嚥下すれば威乃もまた腰を揺らして快感の余韻にいつまでも浸っていた。
「あ、ああああ…、う、ん…っ!」
余程、快感が強かったのかズルッと身体が崩れ落ち、そのままベッドに倒れこむ。力の入らなくなった身体は足を広げ龍大にひくつく孔を見せつけるかのようだ。
それに思わず息を呑むと、威乃の快楽に落ちる姿を見て更に成長したペニスを軽く扱いてビリビリと走る刺激に気が急く。ぐっと威乃の腰を掴めば、そのまま引き付けて一気に中に身体を沈ませた。
「う……うっ!、あぁぁ…っ!んっ…、あ…あ…ぁ、龍…!大…、あ…あぁぁ…っっ!」
龍大がまた中のしこりを擦ったせいで、威乃の垂れたペニスからまた蜜が垂れる。一度、吐き出したせいで中は緩く、どこまでも龍大を飲み込んだ。
ぎゅーっと奥まで突き進めば威乃が足を跳ね上げ、龍大の腹を手で押した。
「だ、ダメっ、そこダメっ!あ、まって、これ、ダメ、」
目の周りを赤くして赤い舌を覗かせながら首を振る威乃を見て止めるわけもない。S字になったところまで飲み込んでしまったようで、威乃が身体を小刻みに震わせる。
龍大も同じで先端をこれまでにないような力で吸い込まれ腸壁は龍大を刺激するためかのように扇動を始める。ブルブルとまるでバイブレーションのような動きで攻められれば、快感を求めて腰を振るのに躊躇いはなかった。
「ひ…ぃ…ぃ……っ!あぁぁあぁあああぁ…あ!あ…っ!!」
ストロークは激しく、その度に奥の引っ掛かりへ先端が飲み込まれる。威乃のペニスも力を戻し蜜を撒き散らしながら腰の動きに合わせて跳ね上がる。
「すげ…」
「あぁ…ぁっ、う、あぁぁ、あああぁ……、んっ!」
膝立ちになって威乃に叩きつけるように挿入し、ストロークを繰り返す。力の入らない威乃の身体はやられるがまま、だが快感は凄まじいようで龍大の膝に手を掛けると、もっと強くとばかりに引っ張ってくるのだ。
ゆさゆさと揺さぶられ女のように中を犯されることに抵抗感はとうになくなっていた。中を龍大の熱で隙間なく犯されるのが本当に好きで幸せで、龍大が感じてくれるなら好きなように犯してほしいとさえ思った。
普段、無口な龍大が身体全体で愛してくれるのが嬉しくて堪らないのだ。
「あぁあ…っ、あ……ぁ!あああ!だめ…!イク…ッ、また、イッ…ちゃ…ぁ!」
中の龍大を今まで以上に締め付けて威乃が身体を反らす。触ってもない威乃のペニスから蜜が吐き出され、龍大の腹を汚すと龍大も最後とばかりに激しい抽出を始めた。
ずっと達しているかのような快感に威乃は声も出ず、トロトロと蜜だけを吐き出しているとズルッと威乃を犯していたペニスが抜けた。そして威乃の顔の前にくると無遠慮に顔に吐き出した。
威乃は快感に悶えながら吐き出すペニスに舌を伸ばして、先端を可愛がるとチュッと吸い付いた。